DX実行部隊。全社を横断してDXを推進するチーム「CoE」とは?

全社的なDX推進を担うプロジェクトリーダー「CDO」とは?」では、CDO(最高デジタル責任者)など、DXの実現に向けて戦略を明確化し、戦術レベルまで落とし込むプロジェクトリーダーの重要性について述べました。

今回はCDOとともに、DX実現に向けて戦略や戦術に基づいて実際にプロジェクトを実行するチーム「CoE」について紹介します。

全社を横断的に活動する実行部隊「CoE」

CoEは「Center of Excellence」の略語で、組織を横断するプロジェクトを行う際に中核となる部門や研究拠点などを指します。DX推進プロジェクトにおいては、CDOを補佐し、デジタル戦略を実行していく役割を担います。

CoEは、CDOが立案した戦略を基に事業や部署を横断してDX実現に向けて取り組む組織であるため、プロジェクトが目指すビジョンの共有や、ビジョン実現までのマイルストーンの設定、優先順位の意思決定などのガバナンス機能を担い、効率的にプロジェクトを進められるよう各事業や部署と調整するパイプ役ともいえます。

例えば、それまで事業や部署ごとに分断されていたデジタル基盤を統合するプロジェクトの場合、システムの導入や運用に向けて各部署と調整したり、社員のデジタルリテラシー教育を行ったりすることもあります。またデジタル基盤の稼働後は、各事業・各部署から集約したデータや情報、ノウハウを全社目線で分析し、経営層が迅速に意思決定を行えるよう支援したり、経営層が意思決定した方針を各部署が適切に実行できるようサポートしたりします。このようにデジタル基盤の統合ひとつをとっても、CoEはさまざまな業務を担います。

また、エバンジェリストとしてCDOが立案したデジタル戦略を全社一丸となって取り組む意義を説き、DX推進の文化を社内に浸透させることで、円滑にプロジェクトを進められるよう取り計らうことも、CoEの重要な役割といえるでしょう。

「CoE」の6パターン

ではこれらの役割を果たすために適切なチーム編成とは、どのようなものなのでしょうか?独立行政法人情報処理推進機構が発表した「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」では、自社内でDXを推進する際の6つの組織体制を紹介しています。 企業内のDXの推進体制【出典】独立行政法人情報処理推進機構「デジタル・トランスフォーメーション推進人材の機能と役割のあり方に関する調査」 組織体制は大きく「組織新設型」と「既存組織推進型」に分けられます。このうち前者の「組織新設型」はDX推進部門を新しく設置する方式、後者の「既存組織推進型」は情報システム部門や経営企画部門など既存部門にDX推進機能を付け加える方式です。

組織新設型

① 独立事業部門型

これは、新たにDX推進部門を設置してDX部門がみずからプロジェクトを実行するパターンです。前述の調査に回答した約4割の企業がこのパターンに該当しており、最も典型的なパターンといえます。既存事業とは独立したプロジェクトとして進めるため、既存事業との連携や成果が出るまでの評価の方法に課題はあるものの、社内外から人材を獲得し、既存ビジネスとは異なる新たなビジネスを創出したり、既存事業の強みを活かしたビジネスを創出したりするなど、自由度を活かした展開が見込めます。日本ユニシスや富士通、TISなどでこのような方式が見られます。

② 全社企画・支援型

これは、現場の事業部門にプロジェクトの実行を任せ、DX部門はその戦略立案やサポートを行うパターンです。三井物産では、経営企画部内に全社のDXをサポートするチームを設置するとともに、高い技術を持つ社外ベンチャーとも連携し、事業創出力が高い部門を効果的にサポートすることで、全社のDXを促進しています。

③ DX企業新設型

これは大企業に多くみられる方式で、新たに企業を設立してDXの推進を行うパターンです。例えばみずほフィナンシャルグループは、他社と協働でDXを推進するための企業を立ち上げ、法令によって業務が制限されやすい金融業だけではなく、他業界・他業種にも視野を広げ、新しいビジネスモデルを創出することを目指しています。

上記3つの「組織新設型」は、既存部門の慣習や枠組みに捕らわれず、横断的な活動が可能ですが、新たな人材の採用や企業の設立が必要となり、設立コストが高くなる傾向にあります。

既存組織推進型

① 企画部門推進型

DXの専門組織を設置していない企業は、既存の部門がDX推進の業務と既存業務を兼務することになります。その最も典型的なパターンが、経営企画部門にDX推進機能を付与するパターンです。この場合、DXを推進するにあたって試行的な意味合いで設置されることが多くなっています。

②IT部門推進型

これは情報システム部門などにDX推進機能を付与するパターンですが、このパターンの場合、DXの目的が新規事業の創出というよりも、既存業務の効率化の意味合いが強い傾向にあります。ただし、セゾン情報システムズのように、まず業務効率化に取り組み、効率化によって空いたリソースを新規事業の創出へつなげようとするなど、段階的にDXに取り組んでいる企業もあります。

③その他部門推進型

これは研究開発部門などにDX推進機能を付与するパターンです。例えば東京ガスの場合、IT部門と技術開発部門を統合し、DX推進を担う部門を設置しました。この部門では、各部門のノウハウを集結し、エネルギー事業に限らない新事業の創出をミッションに掲げるなど、前述の「IT部門推進型」と「その他部門推進型」の中間的な体制を採用しています。

「既存組織推進型」は、既存部門のノウハウを活用できる方式であるため、「組織新設型」と比べ、低コストでDXに取り組むことができます。

自社に最適な方式での「CoE」設置

どんなに優れたDX戦略であっても実行できなければ意味がありません。ビジョンや経営戦略に基づいた人材の登用や組織づくり、全社的に取り組む文化の醸成が、企業規模を問わず重要になっています。自社の置かれた状況に合わせ、DX実現のために最良なCoEの方式を採用し、場合によりその方式を変えつつ、着実に継続的な取組みを進めていくことが求められます。

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