国内市場規模が前年度比270%!急成長するオンライン本人確認「eKYC」とは

コロナ禍の影響もあり非対面型サービスが推奨される今、さまざまな手続きのオンライン化が進められています。本人確認の手続きもそのひとつで、オンライン上で本人確認を行う仕組み「eKYC」を導入するケースが増加しています。

矢野経済研究所が7月に発表した「eKYC市場に関する調査」によると、eKYCの2020年度の国内市場規模は前年比270.0%となる40億円を超え、さらに2024年度には63億円に達すると予測されています。そこで今回は、そもそもeKYCとは何か解説します。

オンライン上での本人確認を可能にする「eKYC」

銀行口座の新規開設や携帯電話の新規契約を行うとき、顔写真付身分証明書を用いた本人確認の手続きが必要です。この本人確認の手続きは、犯罪で得た収益をマネーロンダリングしたり、携帯電話を振り込め詐欺などに不正利用したりすることを防ぐため、犯罪収益移転防止法や携帯電話不正利用防止法などの法令によって、事業者に義務付けられています。

本人確認をする際には
  • 顧客の実在性を確認する「身元確認」
  • 本当にその取引相手が本人であるかを確認する「当人認証」

の2つの要素をクリアする必要があります。

例えば従来の本人確認では、顧客が窓口に「身元確認」できる顔写真付の身分証明書を持参し、担当者が対面で写真の顔と顧客の顔を見比べて「当人認証」を行ったり、顧客が「身元確認」できる身分証明書を事業者に郵送した後、事業者から顧客の住所へ転送不要郵便を送ることで「当人認証」を行ったりしていました。そうすることで事業者は「顧客を知る(Know Your Customer、KYC)」ことができたとみなし、本人確認を行ってきたのです。

この本人確認(KYC)の手続きを、デジタル技術を活用してオンライン上で完結できるようにした仕組みが「eKYC(electronic Know Your Customer)」です。 身元確認と当人認証による本人確認の方法【出典】経済産業省「オンラインサービスにおける身元確認手法の整理に関する検討報告書(概要版)」

不正利用防止のため法令整備が進むeKYC市場

2016年と2018年の法改正でeKYCの導入が本格化

2016年犯罪収益移転防止法が改正され、公的個人認証サービスを用いたオンライン上での本人確認手続きが認められました。そして2018年の改正でその具体的な方法が提示され、金融機関や証券会社、携帯電話会社を中心にeKYCの導入が進みました。 2018年の法改正で追加された本人確認の方法【出典】金融庁「オンラインで完結する自然人の本人特定事項の確認方法の追加」

2020年の法改正で本人確認書類と手続きの内容が厳格化

eKYCの導入が進む一方、事業者が転送不要郵便や本人限定受取郵便として書類を送ることで本人確認する際に、空き家を住居とした本人確認書類を偽造し、他人になりすまして空き家に書類を配達させるなど、不正に本人確認を行う事例が発生しました。

こうした状況を受けて、2020年にオンライン上での本人確認の方法をより厳格化する規則が追加されました。具体的には、本人限定受取郵便で手続きする際の本人確認書類を顔写真付の物に限定したり、転送不要郵便で手続きする際には住民票や印鑑登録証明書などの本人確認書類を写しではなく原本としたりするものです。

急拡大するeKYC市場

こうしてeKYCの活用に向けて法整備が進む中、さまざまなeKYCサービスが登場しました。eKYCサービスは、TRUSTDOCKが公開した「本人確認/eKYC・デジタルID・契約締結 関連カオスマップ2021」によれば、以下の5つのカテゴリーに分類することができます。

  • 個人の本人確認を行う「個人向けeKYCサービス」
  • 反社チェックや法人及び担当者の存在確認など、取引する対象となる事業者や担当者が信頼できるか判断する際にサポートを行う「法人向けeKYCサービス」
  • SMS認証や生体認証など、なりすましではなく本人が申請していることを確認する「当人認証サービス」
  • 行政手続きやサイトのログインを行う際に、マイナンバーカードなどに記録された電子証明書を用いて本人確認を行う「公的個人認証サービス」
  • そのほか上記に当てはまらない業務(KYCに特化した郵送代行や、反社チェックやコンプライアンス用のデータベースの提供など)を行うeKYCサービス

TRUSTDOCKが公開した「本人確認/eKYC・デジタルID・契約締結 関連カオスマップ2021」【出典】プレスリリース「「本人確認/eKYC・デジタルID・契約締結 関連カオスマップ2021」の公開 by TRUSTDOCK」 カオスマップをみると、eKYC関連市場には多様な企業が参入しており、今後のデジタル社会を担う一市場として成長していることがわかります。

パンデミックによって官民ともに業務のデジタル化が進む今、今後もさまざまなサービスでオンライン上での本人確認の手続きを求められることが予想されます。事業者が個々に本人確認システムを開発することは非効率または困難であり、eKYCサービスへのニーズは今後ますます高まることが予想されます。

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